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という技術をご存知でしょうか?
ドラマや、映画などに使われる技法で、全く別の作品の中で、共通の出来事や人物が現れることにより、両者が同じ世界で起きている出来事であると、視聴者に認識をしてもらう演出技法なんですが、再上映で話題のジブリ作品にもそれと思わしき演出があるので、今回はこれをご紹介したいと思います。
『紅の豚』と『風立ちぬ』
『紅の豚』といえば、魔法で豚の姿になってしまった人が主人公の、一見すると異色な映画で、『飛べない豚はただの豚だ…』とフィオに電話越しに放った言葉が名言となっていますね。
他にも、現代社会に向けて印象的だったのが、主人公ポルコの飛行機を作り直す責任者になりたいフィオが、ポルコに認めてもらうために徹夜で設計図を作ろうとしたときに、ポルコがフィオに放った言葉、
『徹夜はするな。睡眠不足は良い仕事の敵だ。それに美容にも良くねぇ』
という。
ついつい頑張りすぎちゃって、睡眠不足になりがちな現代社会の人たちの胸にグッときそうな言葉です。
『風立ちぬ』といえば、少年時代から飛行機に憧れた堀越二郎が、戦中に零戦を開発するまでの、様々な出会いと恋模様を描く物語です。主人公の声優に新世紀エヴァンゲリオンの監督・庵野秀明さんを起用したことでも話題になりました。
紅の豚でもご紹介しましたので、名言をご紹介します。
カプローニの『センスは時代を先駆ける。技術は後からついて来る』という言葉。二郎が、飛行機の設計士を志し始めた時に、自分達を卑下し弱気になっている所に、彼を励ますためにカプローニが掛けた言葉です。
まずは『やりたい!』という気持ちが大事!という事なのでしょうかね。私はそうやって勝手に解釈をしています。
さて、この2作品の共通点。飛行機だけではありません。
実は、『飛行機の墓場』が両作品に登場しています。
『紅の豚』では、ポルコがフィオを自分のアジトに連れて帰り、戦争の体験をフィオに話すシーンでの回想。入り乱れながらの空中戦。仲間を皆失い、無我夢中で飛ぶポルコでしたが、途中で意識を失い、気付いたら雲の上を飛んでいました。ふと周囲を見渡すと、敵や味方の飛行機が雲の中から空に上がって行きます。
更に上空を見ると、一筋の雲のような線が。
敵や味方の飛行機たちはその線に向かって飛んでいきます。よく見ると、それは飛行機の集まり。
これこそが『飛行機の墓場』。
ポルコはその直後意識を失い、また気が付くと上空をユラユラと飛んでいたという。
で、この『飛行機の墓場』が、『風立ちぬ』にも出てきます。
ラストシーンです。
カプローニと二郎が平原で立ち尽くし、話し合うシーンでのこと。
二郎の名作『零戦』を褒めるカプローニ。『一機も戻ってこなかった』と悲しむ二郎。
『あれかね。君のゼロは』
カプローニが示す先には、飛ぶ零戦。この飛行機もまた、上空に走る一線に向かって飛んでいくのです。
その線こそが、『飛行機の墓場』
この直後に、菜穂子が『生きて』と言いに来ます。感動的なシーンです。
両作品に共通点を作った意図は、宮崎駿監督ご本人にしか分からないのですが、このリンクには様々な説があります。
しっかりご覧になっていただければ、別々の答えが見えてくるかもしれません。
お勧めです。
さて。本当はもう一つの例をお話したかったんですが、ギチギチになってしまうので、ここまで。
以上、皆さんご存知、あの安部でございました!